
株の珍しい効果
経済活動水準有していた国債を将来世代に売り払い、それで得た資金分を消費してしまっても、その間不況が続いていれば余剰労働力を有効活用することになるため、将来世代に残す物の量は変わらないからである。
このとき、将来世代の手元には償還されていない国債が残っているが、残った国債は単にお金を右から左に回す原因となるだけであって、純負担にはならない。
ところがもし、完全雇用期までにその分を使い切っていなければ、将来世代に負担を残さないためには、使い切っていない分を増税によって回収し、現在世代の購買力から削除しておくことが必要となる。
こうしてみると、将来世代の負担とは、現在世代への減税財源分の支払いが、国債発行によって将来に延期されるために発生するコストではなく、減税による現在世代の購買力増大が、完全雇用期に実行されることによって発生するコストである。
将来世代の分まで消費してしまうからである。
不況期の財政出動の目的は、まさに現在世代の購買意欲を好況期にではなく、不況期に増加させることである。
現在世代の購買力増加分の支出が不況期に行われるかぎり、将来世代に負担なく余剰資源を有効利用できるのである。
物の面から見た将来世代の負担(公共投資の場合)すでにここで述べたように、減税と公共事業では、お金の流れという視点から見れば、民間から調達されて再び民間にもどされるという意味で同じであるが、物の側面から見れば、公共事業では、資源を使って公共設備を残すという点で、減税とは異なる。
国債発行による資金調達によって公共事業を行う場合には、公共事業に従事する人の購買力が国債発行分(=公共事業予算分)だけ増大するとともに、公共事業のために、資源が余分に使われる。
失業があれば、公共事業によって使われる資源は、余っている労働資源や遊休設備によってまかなうことができるため、将来世代に残される物の量に影響を与えることはない。
そのため、減税の場合と同様に、現在世代が、不況が続いている間に公共事業を済ませ、公共事業に雇われて得た所得分の購買力を使ってしまうかぎり、将来世代への負担はないのである。
このことは、公共事業によって、たとえ現在世代のためだけに使われる物を生産するのであっても、将来世代への負担なしに、現在世代が受け取る物を増やすことができることを示している。
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